キャンピングカーに消火器 積んでますか?
日本RV協会の調査では、キャンピングカーの国内保有台数は2019年からの5年間で約1.5倍に増えた。車内にキッチンとベッドを備える車両では、加熱器具と居住空間が数メートル以内にあり、朝は車載の2口コンロで湯を沸かし、夜はFFヒーターが車室全体を暖める。その周囲には布団や衣類が収納されている。

総務省消防庁の火災統計によると、車両火災のうち調理器具を発火源とする件数は2022年に78件、暖房器具由来は42件だった。キャンピングカーの内装材にはFRPや合板が多く、これらは着火から3秒で表面温度が400度を超え、シート表皮を溶かしながら有毒ガスを発生させる。小型ガスバーナーも、車内では火災の起点になり得る。
車両火災は発煙から2分40秒で車内全体に広がる
火災に気づいた時、運転席にいる者の動作は停車、エンジン停止、全員の脱出指示が先になる。総務省消防庁の実験資料では、車両火災は発煙から車内全体に炎が広がるまでの時間が平均で2分40秒とされる。この間に消火器を取り出せるかどうかが、全焼か部分損傷かを分ける。手元に消火器がなければ、外部への通報と延焼の見守りに限られる。
車載用は粉末式ABC消火器の自動車用第3類
キャンピングカーには、日本消防検定協会の認証を受けた粉末式ABC消火器の第3類(自動車用)が適する。ABCはAが木材や紙などの普通火災、Bが油やガソリンなどの液体火災、Cが電気火災に対応することを示す。調理油への引火、電気配線のショート、内装木材への着火という車内火災の種類を1本で扱える。
自動車用消火器は、一般社団法人日本消火器工業会が定める表示基準で「自動車用」と示され、振動や温度変化への耐久試験を通過している。一般家庭用を車に積むと、夏場の車内温度60度以上の環境で内圧が上がり、安全弁が作動する事例が報告されている。選ぶ際の表示は「自動車用」、方式は蓄圧式、能力単位はB-2以上である。
置き場所と固定方法が操作時間を左右する
消火器は積んでいるだけでは足りず、置き場所が操作までの時間を左右する。運転席から手を伸ばして届く範囲で、乗降の妨げにならない位���、具体的には運転席シートの側面か助手席足元の固定ブラケット内に置く。寝室部分や収納庫の奥にしまい込んだ場合、発火時に取り出せなかった事例がJAFの出動記録でも確認されている。固定にはベルト式ブラケットを使い、衝突時の飛散防止とワンタッチでの取り外しを両立させる。
使用手順は「ピンを抜く」「ホースを火元に向ける」「レバーを強く握る」の3動作で、同乗者全員が実際にレバーを握っておく。総務省消防庁の指導指針では、消火器の放射時間は約10秒から15秒とされており、火の根元から手前へ掃くように粉末をかける動作をこの時間内に完了する。
点検は6ヶ月ごと、自動車用の交換は3年ごと
車載消火器の点検は、使用の有無にかかわらず6ヶ月ごとの外観確認が消防法施行規則で定められている。確認項目は、圧力計の針がグリーンゾーンにあるか、ホースに亀裂がないか、安全ピンが変形していないかの3点だ。粉末式ABC消火器の本体寿命は製造から5年だが、自動車用は振動負荷を考慮し3年ごとの本体交換を日本消火器工業会が推奨している。期限切れの消火器は、粉末が固結して放射できないことがある。
海外製の車載用消火器を個人輸入する例もあるが、日本の消防検定マークがない製品は火災保険の適用時に調査対象となることがある。日本損害保険協会の照会事例では、非検定品の消火器を使用していた車両火災で、保険金支払いに時間を要した報告が寄せられている。
車載用粉末式ABC消火器(自動車用第3類、能力単位B-2以上)は、価格が実売4000円から7000円の範囲で購入でき、本体交換周期は3年、圧力計の目視点検を6ヶ月ごとに実施する。2024年時点で関連法規の改正はない。