、「ハラル」食品で世界20億人市場を開拓——「常陸牛」輸出量3倍、しょうゆ・ホタテも認証取得

 イスラム教の戒律に沿ったハラルに対応した食品で、輸出に商機を見いだす企業などが増えている。イスラム圏の人口は世界人口の4分の1、約20億人に上る。紛争などのリスクはあるものの、今後の人口増と経済成長も見込まれ、輸出先として期待が高まっている。(水戸支局 嶋村英里)  茨城県のブランド黒毛和牛「常陸牛」は、2025年度の輸出が前年度比3倍超の約173トンと過去最高を記録した。ハラルに対応し、サウジアラビアなどへの輸出を開始したことが大きな要因だ。

米世論調査会社ピュー・リサーチ・センターの推計では、イスラム教徒人口は2020年までの10年間で3億4700万人増加し、世界人口の4分の1を占める約20億人に達した。国内市場の縮小を前に、茨城県のブランド黒毛和牛「常陸牛」、三重県伊賀市の「福岡醤油店」、青森県八戸市の「エスディハチカン」がハラル対応や認証取得を進め、輸出を始めている。

常陸牛、サウジアラビアへ 輸出量は前年度比3倍超

茨城県のブランド黒毛和牛「常陸牛」は、2025年度の輸出が前年度比3倍超の約173トンと過去最高を記録した。サウジアラビアなどへの輸出を開始し、ハラル対応が輸出量を押し上げた。

生産者らで作る茨城県常陸牛振興協会は、和牛の需要があるものの、ハラルにのっとって処理した牛肉しか提供できないイスラム圏に輸出先を求めた。食肉処理は、日本国内の数少ないハラル対応の食肉処理場の中から、神戸市の施設に依頼した。

施設までトラックで牛を運び、インドネシアやマレーシアの政府が発行したハラル食肉処理の免許を持つイスラム教徒たちが、アラビア語で「アッラーの御名において、アッラーは偉大なり」という祈りの言葉とともに、と畜をしている。

福岡醤油店、加熱と専用器具でマレーシア・シンガポールへ

1895年創業の三重県伊賀市の「福岡醤油店」は、国内市場の縮小を背景に、10年ほど前からハラル認証を受けた醤油や焼き肉のタレ、めんつゆをマレーシアとシンガポールに輸出している。

醤油は発酵過程で微量のアルコールが生じるが、同社は通常より長時間加熱するなどして、発生するアルコールの度数を下げている。ハラル以外の原料や食品が混入しないように専用の流し台や調理器具を使って製造し、食品や化粧品のハラル認証発行を行う「日本アジアハラール協会」の認証を取得した。

エスディハチカン、ボイルホタテで認証取得

青森県八戸市の企業「エスディハチカン」は、2022年に陸奥湾産のボイルホタテで日本アジアハラール協会の認証を取得した。同社によると、ホタテはハラル対応の処理をする必要はないが、認証を取得した。マレーシアへの輸出実績があり、今後、他の