アップサイクルジュエリーに注目、眠っていた宝石が輝く「ヒマリ」
使われずに保管されていたデッドストックの宝石や金属を再利用し、価値を生み出すアップサイクルジュエリーが注目を集めている。日本のブランド「ヒマリ」は、カラーストーンを多くあしらい、色の組み合わせを前面に出すデザインを展開する。野口季瑛。
在庫石を出発点にした設計
製品に使われる石は、宝飾メーカーなどが抱えていた在庫品が中心だ。デザイナーの渋沢博子氏(46)は大手宝飾メーカー出身で、過剰な検品ではじかれた石や、流行に合わず売れ残った石が大量に放置されている現状を目の当たりにした。「もったいない」という問題意識を原点に独立し、新たな石の採掘・加工をしないことを方針として、2019年にブランドを設立した。

形状と色を組み合わせた製品
4カラットのオパールを青や緑の小さな石で囲んだリング、丸形や四角形など形の異なるカラーストーンを並べたネックレスがある。色も形も異なる石を組み合わせ、在庫品ごとの差を製品の構成に使っている。

渋沢氏は「石の希少性や従来の品質基準ではなく、石が持つ個性を大切にしている」と話す。一般にアクアマリンは色が濃いほど価値が高いとされるが、「ミューズ(女神)」と名付けたリングでは、規格外として扱われた淡い水色のアクアマリンを採用している。濃い深緑色のトルマリンと合わせ、濃淡の差を前面に出した。

水滴形の石を3つ並べ、カットフルーツに見立てたピアスは、用途が限られ在庫になりやすい水滴形の石を中心に使った製品だ。丸形に比べて需要が少ない形状を、製品の中心に置く。
価格とブランド名
在庫石を活用するため、価格は抑えられる。渋沢氏は「キャリアアップや出産など、女性が人生の節目に、頑張れば自分で手にすることができるジュエリーでありたい」と話している。ブランド名は、在庫品である「あまり」と「光」を組み合わせた造語だ。
今後の焦点
アップサイクル型の製品は、素材調達を外部の在庫状況に依存する。デザインの更新と在庫石の安定確保をどう両立させるかが、ブランド継続の判断材料になる。