政府が「日本版DOGE」行政改革・効率化推進事務局を発表 補助金と租税特別措置の見直しへ
6月25日、政府は内閣官房内に「行政改革・効率化推進事務局」を新設し、中核機関として「租税特別措置・補助金見直し担当室」を置くと発表した。約30名の専門スタッフが配備され、政策効果の薄い事業や補助金の抜本的な見直しを担う。この組織は自民党と日本維新の会の連立合意文書に明記された「政府効率化局」構想を具体化したもので、文書公表から1カ月強で立ち上がった。

片山財務大臣は6月25日の閣議後記者会見で、令和8年度予算編成と税制改正に反映させるため、無駄な政策を速やかに削減する計画だと述べた。予算年度という期限が先に立つ一方で、補助金の「効果」を誰が、どの基準で測るのかは示されていない。
米国DOGEの削減実績と組織の混乱
米国の「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」は、トランプ前政権が実業家イーロン・マスク氏を長に据え、1兆ドル規模の財政削減を掲げて発足した。USAID(米国国際開発庁)の事業停止や大量の職員解雇を断行し、約2140億ドルの削減を発表した。この削減額の正確性には厳しい指摘が向けられた。マスク氏は減税法案をめぐってトランプ氏と対立し、退任に追い込まれた。今月23日には「DOGE任期満了前の解体」が報じられ、翌24日にDOGE側はSNSで「先週も78件の無駄契約を解消した」と反論した。本来の任期は建国250周年にあたる2025年7月4日までとされていた。
日本版と米国DOGEの異同
同じく政府効率化を掲げるが、米国DOGEは外部の実業家を長に据え、連邦機関への事業停止や職員解雇まで踏み込み、約2140億ドルの削減を発表した。日本の新組織は内閣官房内に置かれ、財務大臣が令和8年度予算編成への反映を表明し、約30名の専門スタッフで租税特別措置と補助金の見直しを進める。権限の対象範囲では米国の方が広く、制度内への組み込みでは日本の方が深い。

SNSを活用した意見募集と米国の教訓
政府は新組織の運営にあたり、SNSなどオンラインツールで国民から補助金の不要部分や過剰な税制優遇に関する意見を募集するとしている。意見募集は行政の透明性を高める手段になる一方、組織的な利益集団の動員や無関心層の沈黙によって偏る可能性がある。米国ではUSAID解体の過程で、声の大きい者が「無駄」と断じた事業が弱い立場の人々を支えていた事態が繰り返し起きた。
約30名体制の実効性
約30名という人員規模は、霞が関全体の職員数と比べれば小さく、各省から提出される予算要求を実質的に審査するには限りがある。組織の実効性は財務省主計局との連携と首相の政治的意思に左右される。連立合意文書への明記から1カ月強での立ち上げよりも、各省の抵抗に直面した際に内閣官房がどこまで関与を維持できるかが問われる。
租税特別措置と補助金の総点検は必要な作業だが、令和8年度予算への反映を急ぐ手続きによって、政策の社会的費用を測る作業が省略されないかが焦点となる。今後は検証基準の公表と最初の補助金見直し対象の選定が、この組織の設計思想を評価する指標となる。