2025年2月、SC軽井沢クラブは男子カーリング日本代表として世界最終予選への出場を固めた。開催地はカナダ・ケベックシティで、日程は3月15日から20日まで。各大陸予選を通過した8カ国が総当たりで戦い、上位3カ国がミラノ・コルティナ五輪の出場権を得る。SC軽井沢クラブはアジア・パシフィック選手権での成績により、この最終予選の枠を確保している。
攻守バランスの変更と個人の数字
今季、SC軽井沢クラブはエンド序盤のガードストーンを従来より中央寄りに置く変更に取り組んだ。自軍のストーンをハウス内に残しながら、相手のヒット&ロールを誘発しにくい角度を構築するためだ。この配置変更はスキップ両角友佑の判断による。両角は日本選手権決勝でショット成功率94%を記録し、終盤エンドのドローにも実績を持つ。
セカンド宿谷諒太はスイープ力に加え、昨シーズンからハウス後方への正確なテイクアウトを武器に加えた。サード山口剛史は相手ストーンの除去後に自軍ストーンをハウス中央へ残すヒット&ステイで国内トップクラスの成功率を残している。この複数ポジション対応によって、後攻時の得点パターンは従来より広がった。

先手時の失点と氷質への対応
SC軽井沢クラブが優先して対処すべき点は、先手時に相手へ複数得点を与えないことだ。先手エンドでは両角がセンターライン付近にガードを配置し、ハウス中央への進入路を制限する策を多用する。日本選手権準決勝ではこの形が機能し、相手を1点に抑えた実績がある。ただし国際大会は氷のコンディションが国内と異なるため、ガードストーンの停止位置を練習ごとに補正する必要が生じる。
ケベックシティの会場は2019年に改装され、氷面の温度管理システムが更新されている。全チームが新しい氷質への適応を強いられる条件だが、SC軽井沢クラブのコーチは現地の氷質データを入手し、国内練習場の設定を調整済みだという。具体的な氷の情報を初戦前に持っている点は、精度の高いショットを要求される予選で誤差を小さくする。
相手国の数字と総当たり戦の構図
世界最終予選ではイタリア、ノルウェー、カナダなどと対戦することが見込まれる。イタリアは2024年欧州選手権でスウェーデンを破り、チーム全体のショット成功率が87%を超えた。ノルウェーはベテランスキップのトマス・ウルスルドが若手スイーパーと組み、エンド後半に得点を重ねる構成を持つ。先手を取られた局面で相手に流れを渡さない対応が結果を左右する。
国際経験では両角が2018年平昌五輪と2022年北京五輪に連続出場し、通算14勝を挙げている。山口もこの2大会にリザーブとして帯同し、五輪特有の圧力下で練習調整を進める手順を知る。初出場組が多い他国と比べ、緊張状態の処理方法を共有できる点は、技術数値とは別の強みになる。
得失点差が残す判断
予選は総当たり戦で行われ、上位3カ国が五輪出場権を得るため、得失点差も最終順位に影響する。SC軽井沢クラブは日本選手権で第1エンドからブランクエンドを作らず得点を重ねる構成を貫いた。先手後手の巡りを早い段階で自軍に寄せる狙いがあり、少ない得点を確実に積み上げる判断が総当たり戦では残る。
3月15日の初戦から、先手エンドを1失点以下に抑える設計を維持できるかが予選通過の条件になる。イタリアやノルウェーの後半エンドの得点力を踏まえると、序盤3エンドまでの失点幅が��当たり戦の順位を決める可能性が高い。